昭和43年ごろのトリニトロンのカラーテレビ|明るい画面に走る細い横線
ソニーがトリニトロン方式の1号機を発売した1968年を起点に、昭和43年〜昭和52年(1968〜1977年ごろ)の、明るさが評判になったカラーテレビの画面を振り返ります。

60代の時間軸
ソニーは1968年4月15日、銀座ソニービルでトリニトロンを発表し、同年10月に1号機「KV-1310」を発売しました。社史によると、1本の電子銃で3本の電子ビームを走らせる「1ガン3ビーム」と、薄い金属板に細い縦孔を並べた「アパチャーグリル」を組み合わせた方式で、格子の振動を止めるために細いピアノ線を水平に張る工夫が加えられました。13インチから始まり、のちに画面サイズの幅を広げていきました。 この記事では「昭和43年〜昭和52年(1968〜1977年ごろ)」を、資料で確かめられる発売・開始の時期と、暮らしの中でトリニトロンのカラーテレビに触れた時期が重なる目安として扱います。地域、家庭、学校、手に入れた時期によって体験は変わるため、同じ世代なら同じ思い出があるとは決めつけません。
当時の使い方を思い出してみます。電源を入れると、画面が少し遅れてふわりと明るくなりました。白い背景の場面になると、画面の上と下のあたりにごく細い横線がうっすら見えたという記憶を持つ人もいます。色の濃さや明るさのつまみを家族で少しずつ動かし、肌の色がちょうどよく見える位置を探しました。
トリニトロンのカラーテレビがあった場所は一つではありません。茶の間の小ぶりな台の上、子ども部屋に置かれた2台目、電器店の店先に並んだ見本機、親戚の家の座敷の隅に置かれていました。 都市か地方か、家や学校の決まり、近くの店の品ぞろえによって、記憶の背景は人それぞれです。
音や手ざわりの記憶として残りやすいのは、少しふくらんだ画面のガラスの丸み、電源を入れた直後のかすかな高い音、ブラウン管の表面にたまる静電気のぱちっとした感触、背面の通気孔から上がる温かい空気です。年表には残らない感覚をたどると、そのとき近くにいた人の顔まで思い出せることがあります。
いまの薄い画面には走査線も格子もありませんが、すだれのような金属板の向こうから色が浮かび上がってくる画面を、少し離れて眺めた時間がありました。 今と比べるのは、便利になった暮らしを否定するためではなく、当時の手間の中にあった工夫や会話を見つけ直すためです。
トリニトロンのカラーテレビを思い出す三つの手がかり
- まず、60代のトリニトロンのカラーテレビにまつわる「場所」を一つ思い出します。家、学校、駅前、友だちの家など、固有名詞がなくても構いません。
- 次に、その場所で一緒にいた人と、音・匂い・手触りのどれかを一つ添えます。記憶が曖昧な部分は「たぶん」「覚えていない」と書いて大丈夫です。
- 最後に、いまの自分へ一言だけ残します。正しい答えを作るためではなく、次に誰かと話せる入口をつくるためのメモです。
思い出の問いトリニトロンの画面に見えた細い横線に気づいたのはいつだったか、そのテレビで最初に見た番組を覚えていますか?
出典と編集方針
このページは、公開資料で時代背景を確認しつつ、特定の世代の体験を一つに決めつけない読みものとして編集しています。地域や家庭による違いがあります。あなたの記憶と違う箇所は、間違い探しではなく会話のきっかけとして扱ってください。